どんな本なのか?

あなたは「本当にやりたいことはなんですか?」と聞かれてすぐ答えられますか?
やりたいことはなんとなく答えられるけど、「本当にやりたいこと」と聞かれると答えられない人が多いのではないでしょうか。
そもそも、「やりたいこと」の定義とは、「やりたいこと」を見つけるにはどうしたら良いのか分からないですよね。
そんな悩みを解決していくれるのが「世界一やさしいやりたいこと」です。
この本は、作者の八木仁平さんが考案した「やりたいこと」の見つけ方を理論的に解説しています。
具体的なワークのやり方も複数説明されているので、自分の考えを整理しながら「やりたいこと」を見つけていくことが出来ます。
本の概要
タイトル:世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方
作者名:八木仁平 発行日:2020年5月28日
ページ数:224ページ
価格:単行本1540円 kindle版1386円
作者について
作者:八木仁平
株式会社ジコリカイ代表取締役
早稲田大学卒業。在学中にコンビニバイトでの挫折からブログ運営。軌道に乗ったため卒業後すぐに独立したものの、お金以外の働く目的を失いうつ状態となる。
状況を変えるため本当にやりたいことを見つけるために、独自の「自己理解」に取り組む。
その手法を発信したところブログは累計2600万PV、Twitterフォロワー数24000人を超える。
こんな人におすすめ
- 自分の「本当にやりたいこと」が見つからない
- やりたいことを探して転職を繰り返している人
- 自分のことを理解して、能力や適性を活かしたい
本の目次

- 本の目次
- CHAPTER1 「やりたいこと」探しを妨げる5つの間違い
・間違い①「一生続けられること」でなければいけない
・間違い②やりたいことを見つけた時には「運命的な感覚がある」
・間違い③「人のためになること」でないといけない
・間違い④見つけるには「たくさん行動するしかない」
・間違い⑤やりたいことが「仕事」にならない
CHAPTER2 なぜ「やりたいこと分からず迷い続けてしまう」のか?
・コンビニバイトをクビから、「やりたいこと」を見つけて人生逆転した話
・「やりたいことが分からないなら行動してみるしかない」の落とし穴
・「迷い続ける人」と「自分の道を進む人」のたった一つの違い
CHAPTER3 「やりたいこと探しを最速で終わらせる公式」自己理解メソッド
・「やりたいこと」が分からない理由は、ただ単に言葉の意味をしらないから
・「直感的に」ではなく「理論的に」やりたいことを見つけ出す
・「やりたいこと」探しを終わらせる、自己理解メソッドの3本柱とは?
・公式①「好きなこと×得意なこと=やりたいこと」の意味とは?
・「やりたいこと」とは結局何なのか?
・公式②「好きなこと×得意なこと×大事なこと=本当にやりたいこと」の意味とは?
・「大事なこと(価値観)」から「仕事の目的」が生まれる・「本当にやりたいこと」の具体例
・「就職・転職面接」でも無敵になれる理由
・自己理解メソッドのルール①「好きなことで生きる」は間違い
・自己理解メソッドのルール②「好きなこと」の前に「得意なこと」から見つける
・自己理解メソッドのルール③「細かい実現手段」は考えていけない
CHAPTER4 人生を導くコンパス「大事なことを見つける」
・モチベーションが絶対に下がらない仕事の作り方
・理解しておくべき「目標」と「価値観」の違い
・「本物の価値観」と「偽物の価値観」の違い
・work-本物の価値観を見つけ出す5つのステップ
・上手く質問に答えられない時の2つの対処法
・-work STEP1- 5つの質問に答えて「価値観キーワード」を見つけ出す
・-work STEP2- 「価値観マインドマップ」を作って思考を整理する
・-work STEP3- 「他人軸」な価値観を「自分軸」に転換する
・-work STEP4- 「価値観ランキング」を作って優先順位を決める
・-work STEP5- 「仕事の目的」を決めれば自然と仕事が上手くいく
CHAPTER5 「得意なこと」さえ見つければ何でも仕事にできる
・「得意なこと」の定義とは
・「自分を変える努力」から「自分を活かす努力」へ
・「自己啓発本」を読めば読むほど自信を失うワケ
・「長所」を尖らせて代わりのいない存在になる
・-work-5つの質問に答えて「得意なこと」を見つけ出す
・長所をまとめて「自分の取扱説明書」を作る
CHAPTER6 「好きなこと」を見つけて努力とサヨナラする
・「好きなこと」の定義とは
・「お金のためには働いている人」は「好きではたらいている人」に敵わない
・「野球が好きだから、野球関連の仕事を選ぶ」は間違い
・「仕事にすべき好きなこと」と「仕事にしてはいけない好きなこと」の違い
・-work-5つの質問に答えて「好きなこと」を見つけ出す
CHAPTER7 「本当にやりたいこと」を決めて「本当の自分」を生き始める
・「将来のため」に生きるのは今すぐやめよう
・「やりたいこと」は「仮説」でいい根拠
・「本当にやりたいこと」を決断する2ステップ
・-work STEP1-「好き×得意でやりたいこと」の仮説を立てる
・-work STEP2-「仕事の目的」で「やりたいこと」を絞る
CHAPTER8 「人生を劇的に変える】自己理解の魔法
・「やりたいこと」を実現する手段を見つける方法
・自己理解の技術を身につければ、あなたは今後二度と失敗しない
・成功とは「目標を達成」することではない。「自分らしい今この瞬間」を生きることが成功だ
・できるだけ早くやりたいこと探しから「脱出」し「夢中な自分」を手に入れてください
おわりに(フローチャート)
謝辞
巻末特典
本の読みやすさ
本の難しさ | 1.5 |
読みやすさ | 4 |
手軽さ | 2.5 |
生活への生かしやすさ | 5 |
総合 | 3.5 |
シンプルな文章で各所に図解も入っているので読みやすいです。
読むだけならあまり時間はかかりませんが、この本の肝とも言える自己理解を深めるためのワークが何箇所かあるため、ある程度まとまった時間が取れるときに読むことをおすすめします。
やりたいことを見つける公式

やりたいこと探しの公式
本書では、「やりたいこと」探しの公式として
という公式を出しています。
これだけだと、いまいちピンとこないという人もいると思いますので、
「好きなこと」「得意なこと」とはそれぞれどういった意味なのか、解説していきます。
「好きなこと」
就職・転職を考えている方にとっては、「業界」をイメージしてもらえると良いかもしれません。
好きなことの特徴
- 興味があってもっと知りたいと感じ得る
- 関わるだけで面白いので「これが本当に仕事でいいの?」と感じる
- 「なんで?」「どうすれば?」のような問いが湧いてくる(例、なんでロボットは動くの?)
自分が興味を持って関わっていきたいと、情熱をそそられる「分野」のことを好きなことと定義しています。
「得意なこと」
自然と出来てしまうので「才能」であったり、「特性」「性格」とも呼ばれたりします。
(例)相手の立場に立って考えること、人と競うこと、勉強すること、情報を集めること、深く考えること、分析することなどです。
得意なこと(才能)の特徴
- やっていて心地よい
- 頑張らなくても無意識にやっている
- ストレスがないので夢中になりやすい
- 仕事でなくても普段から自然とやっている
- 他の人に対して「なんでこんなことが出来ないの?」と思う
「得意なこと」と「スキル・知識」の違い
得意なこととよく行動されるのが「スキル・知識」です。この2つは似ているようで全く違います。
「得意なこと」は「相手の気持ちにたって考える」「1つのことを突き詰められる」といった生まれつき持っているもの。
「スキル・知識」は「英語が話せる」「プログラミングが出来る」など後から身につけられるものという違いがあります。
また、「得意なこと」は一度学べばどんな仕事でも使えるものですが、「スキル・知識」は仕事によっては使わない場合があります。(プログラミングスキルがレストランでは生かしにくい)といった具合です。
表にまとめるとこのようになります。
得意なこと【才能】 | スキル・知識 |
自然に上手く出来て、 やっていて苦なく心地よいこと | 上手いスキル・詳しい知識など |
リスクをかんがえられる 人の気持を大事にする 1つのことを突き詰められる等 | 英語・プログラミング ウェブの知識・マーケティング知識 料理の知識など |
後から身につけられない | 後から身につけられる |
どんな仕事でも使える | 特定の仕事でしか使えない |
より重要になるのは「やりたいこと」の方です。
どんな仕事でも使うことが出来て、時代の変化が起きても武器として活用することが出来るからです。
「スキル・知識」ももちろん必要なものですが、時代の変化とともに陳腐化してしまう、「スキル・知識」をベースに選択肢を考えてしまい、むしろ選択肢が狭まってしまうことがあります。
「スキル・知識」は自分のやりたいことを実現するために活用する手段です。
「スキル・知識」に縛られず、自分の「得意なこと」を理解して、自分の才能を生かせるものを見つけていきましょう。
「やりたいこと」とは何か?
「やりたいこと」とは「好きなこと」を「得意なやり方でやる」ことです。
イメージとしてはこの図のようになります。

「やりたいこと」=「好きなこと×得意なこと」という公式でした。
これは「What(何を)×How(どうする)」と言い換えることが出来ます。
例えば、「好きなこと」がファッション、「得意なこと」が物をつくるのが楽しいであれば
「ファッション×物作り」=ファッション関連の物作りをしたいとなるのです。
多くの人は、「好きなこと」だけを基準に考えた結果、仕事選びに失敗します。
「食べ物が好きだから、食品業界に入ろう」だけではダメなのです。
その会社での仕事内容が自分の「得意なこと」でないと仕事が苦痛でしかありません。
同じ「好きなこと」を持っていても、「得意なこと」が違えば「やりたいこと」も変わるのです。
「やりたいこと」と「なりたいもの」の違い
「やりたいことはなんですか?」と質問されたら多くの人が、職業名を答えるのではないでしょうか。
しかし「やりたいこと」と「なりたいもの」は似ているようで全くの別物です。
「やりたいこと」を職業名で考えることには2つの落とし穴があるのです。
・落とし穴1.「なりたいもの」を考えると仕事のイメージをしてしまう
1つ目は、「なりたいもの」を考える際は、「仕事のイメージ」に注目してしまうからです。
例えば、華やかなイメージがあるYoutuberですが、動画投稿の裏側では「企画」「撮影」「動画編集」など地味な作業が行われています。
それなのに、表向きなイメージだけを見て飛びついた場合は、すぐに挫折してしまうでしょう。
反対に、「やりたいこと」を考えた時は、「仕事のイメージ」ではなく「仕事の内容」に注目しますよね。
「企画」「撮影」「動画編集」が好きなら、Youtuberという職業は楽しく続けられるでしょう。
・落とし穴2. 「なりたいもの」を考えると実現手段が限定されてしまう
もう一つの理由は「なりたいもの」を考えると手段が限定されてしまうからです。
例えば、「お笑い芸人になりたい!」となりたいものを考えた場合、既存のお笑い芸人のルートしか見えなくなります。
お笑い芸人として一線で活躍するのは、かなりハードルが高そうですよね。
しかし、「やりたいこと」を考えられているなら「人を笑わせる仕事がしたい!」という考えになるでしょう。
その場合、お笑い芸人に限らず、「Youtubeに動画投稿する」「ギャグ漫画を書く」など、複数の方法が見えてきます。
これなら一つの方法が上手くいかなくても、他の方法で諦めずに挑戦することが出来ますよね。
なりたいもの(職業)は諦めても構いません。むしろ可能性のない場所で頑張り続けても、時間とエネルギーを消耗するだけです。
けれど、「やりたいこと」は諦めないででください。それを実現するルートは必ずどこかにあるからです。
書評
「好きなこと」「やりたいこと」「大事なこと」といった価値観をそれぞれ明確に定義して、掛け合わせて「本当にやりたいこと」を見つけるという考え方は非常に新鮮でした。
これまでは自分の「好きなこと」「やりたいこと」が混合されていたため、本書のワークを通して自分の価値観を整理することが出来ました。
価値観は変化していくものなので、今後も定期的に自分の「好きなこと」は何か、「大事にしたいもの」は何か確認しながら人生を歩んでいきたいと思います。
これから本書を読む方に
本書は読むだけであればスラスラと読むことが出来ます。
しかし、読むだけでは本書を読む意味がありません。
この本の真価はワークにあります。少し億劫かもしれませんがワークは必ずやってみて下さい。
「やりたいこと」はあなたの中にしかないので、読んで終わりにするのではなく、自分の中にある価値観を見つける行動につなげてみて下さい。
私は本書を読んで、自分の価値観が明確になったことでブログ作成に一層熱が入るようになりました。
自分の価値観を理解するとそれに合った行動が出来るようになり、楽しく行動することが出来ます。
是非本書を手に取り自己理解への一歩を踏み出して、あなたの「やりたいこと」を目指して行動してみて下さい。
