このページを見ているということが、投資について学びたいと思っているということですね。
情報が溢れかえっている現代では、投資に関する様々な情報が発信されていて、何を信じて良いか分からなくなってしまいますよね。
そんな時は、古典を読んで学びを深めてみませんか。
数十年前から読み続けられている投資の古典「ウォール街のランダム・ウォーカー」
古典といえど、何度も改定されていて現代に対応した内容になっています。
この本を読んで学べること
- なぜインデックス投資が最強の投資法なのか
- 自分にあったポートフォリオの組み方
- チャート、ファンダメンタルズ手法の弱点
本の概要
タイトル ウォール街のランダム・ウォーカー<原著第12版> 株式投資の不滅の真理
作者名 バートン・マルキール
発行日 2,019年7月20日
ページ数 512ページ
価格 単行本:2750円 kindle版:2475円
作者について
1964年プリンストン大学経済博士。
同大学経済学部長(74-75、77-81)、大統領経済諮問委員会員(75-77)
エール大学ビジネス・スクール学部長(81-88)
アメリカン証券取引所理事などを歴任。世界的に有名な投信会社バンガード・グループなどの社外重役としても活躍。
現在は、ブリンストン大学名誉教授、ウェルスフロント・インクチーフ・インベストメント・オフィサー。
リバランス者投資アドバイザーとして活動している。
ざっくり要約
インデックス投資が最強の投資法
本書の最大のテーマは「インデックス投資が最も優れた投資法である」です。
筆者はインデックスファンドの商品が出る前から、インデックス投資を推奨しています。
筆者は一貫して「市場平均に勝ち続けられる投資家はいない」と主張していますが、その根拠として様々なデータを基に解説しています。
中でも印象的なのが、投資信託のパフォーマンスランキングです。
1970年代に、上位20位の優れたパフォーマンスを発揮した投資信託は80年代では平均以下に終わり、多くのファンドがボトムに近い成績で終わっていました。
80年代以降も同様の結果で、10年以上優れたパフォーマンスを発揮したファンドは存在しなかったのです。
そのため、10年以上の長期投資を行う場合は市場平均そのものであるインデックスファンドが最適であるとしているのです。
テクニカル分析、ファンダメンタルズ分析の問題点
「チャート分析」と「ファンダメンタル分析」
投資を少し学んだ人は耳にしたことがある言葉だと思いますが、この2つの分析手法は有効なのでしょうか。
筆者の回答としては「どちらも問題点がある」としています。
チャート分析の2つの問題点
第一の問題点 チャート分析ではトレンドが形成された後にしか投資が行えない
トレンドがある程度できてからチャートが作られるという構造から当然ですが、チャート分析が出来るタイミングでは、タイミングを逃している可能性が十分あり得ます。
株価の値動きは突然動きを変えますから、後追いをしているだけでは反転に飲み込まれてしまうということです。
上昇傾向のシグナルが明らかになる時には、すでに株価は上昇しているのである。
ウォール街のランダム・ウォーカー
ファンダメンタル分析の3つの問題点
「それでは、ファンダメンタル分析はどうなのか」と言うとこちらも3つの問題点が指摘されています。
第一の問題点 情報や分析が必ずしも正しいとは限らない
証券アナリストは様々な企業分析や関係者との面会を通じて、企業の情報を私達に提供してくれますが、必ずしもその情報が正しいとは限りません。
まだ世の中に出回っていない情報のおかげで利益が出たとしても、別の情報で損をして利益を吐き出しているニすぎない。
また、投資家はその情報を得るために多額な手数料を払わさえていると警鐘を鳴らしています。
加えて、たとえ正確な事実を予想できたとしても、それを正しい利益予想につなげるのは、プロの証券アナリストであっても至難の業ということです。
仮に情報が正しくてもその後の分析が間違っていれば、結果は現実とかけ離れたものになってしまいます。
第二の問題点 アナリストが「価値」の推定を間違う可能性が指摘できる。
もし、将来の成長率などを正確に予想することができたとしても、次の問題が立ちはだかります。
それは、アナリストが株価評価を見誤る可能性があるということ。
株価は様々な要素を元にその価値が決定されます。
予想成長率が正確に算出できたとしても、その他の部分で実際との差が生まれてしまうと、株価評価の誤りに繋がります。
予想する成長率が正しくても、それは既に株価に反映されていて、分析の結果得られた株価との差は、価値を誤って推定した結果によるものかもしれないのです。
市場が必ずしも自分の「間違い」を訂正するとは限らない
もし、上記2つの問題点をクリアして、正確な株価の価値を算出できたとしても、あなたの買った株価の値段は下がるかもしれないという問題が残ります。
例えば、将来の成長率が25%を維持できるという予想された株Aがあり、PER(株価収益率)が30倍だったします。
他の成長率25%の株の平均PERが40倍であったら、株Aは割安と判断されて買いを推奨されます。
しかし、数カ月後に成長率25%の株の平均PERが20倍に低下していたら、株Aを買っていたとしても得をしないことになります。
なぜなら、市場は成長株に対する一般的評価を変えてしまったからです。
特定の株の値を上げるのではなく、全ての株の値段を引き下げることによって市場の誤りを「修正」することがあるからです。
このような変化は例外的ではなく、過去に何度も繰り返されてきました。
市場のPERや企業の成長に対するプレミアムは劇的な変化を示すことがあります。
そのため、ファンダメンタル分析も絶対ではないと、筆者は述べているのです。
成功するための3つのルール
第一のルール 利益成長率が今後5年以上にわたって市場平均以上の銘柄を買う
株式投資で成功するための最も大事な要素として「長期の利益成長率」をあげています。
なぜなら企業が成長することで、株価も値上がりするからです。
各証券会社のスクリーナー機能を使用して、過去5年の「営業利益率」などをチェックすると良いでしょう。
第二のルール 株価がファンダメンタル価値以上になっている銘柄には手を出さない
ファンダメンタル価値以上かどうか判断するにはPER(株価収益率)が市場平均のPERと同等、もしくはあまり上回っていない状況を指しています。
近年の市場平均のPERは15~20倍と言われているので、目安にすると良いでしょう。
第一のルールと合わせて、低PERの成長株を探そうと言うことになります。
第三のルール 投資家が「砂上の楼閣」を作れるようなストーリーが描ける銘柄を探そう
株価形成には投資家の心理的側面も大きな要因となります。
そのため、投資家に「受けが良い」かどうかも銘柄選びでは重要な要素となります。
同じ様な成長率、PERでも、事業内容が分かりやすかったり、誰もがヒットするだろうなと思える企業の株価の方が上がりやすいのは分かりますよね。
3つのルールをまとめると。
誰もが成長のストーリーを思い描けるような、低PERの成長株を購入する。
ということになります。
「それができれば苦労はしない」と言いたくなりますが、やはりそれだけ投資の世界で成功するのは難しいということなのでしょう。
この本の読みやすさ
本の難しさ | 3.5 |
読みやすさ | 3 |
手軽さ | 2 |
生活への生かしやすさ | 3.5 |
総合 | 3 |
500ページ超えと大ボリュームですが、文章は読みやすくスラスラ読めます。
しかし投資に関する専門用語がよく出てくるので、馴染みのない方はとっつきにくいかもしれません。
こんな人におすすめ
- 投資初心者でとにかく投資を学びたい
- 人から勧められてインデックス投資をしているが、しっくりこない
- 市場の歴史を知りたい
書評
感想
投資のバイブルといわれているだけあって、バブルの歴史から始まり、投資に関するいろいろな要素を学ぶことができました。
チャート分析とファンダメンタル分析の問題点を整理できたので、如何に組み合わせて銘柄を分析するのが良いか考えるきっかけにすることができました。
また、インデックス投資がいかに優れているのかを再確認できたことで、自信を持ってインデックス投資を続けていくことが出来そうです。
500ページ超えとボリュームがあるので読むのは大変でしたが、ちょこちょこ読みすすめても理解できる構成となっているため、抵抗感なく読み進められました。
購入を検討している方へ
インデックス投資を行っている、これから行おうと思っている人は一読するのをおすすめします。
この本を読むことで様々な投資スタイルがある中で、納得感を持ってインデックス運用ができるようになると思います。
既に投資経験がある人でも、様々な学びや気付きがあると思います。
読んでない方は是非手にとってみて下さい。