「より少なく、より良く生きる」エッセンシャル思考 ざっくり要約 

どんな本なのか?

自分が重要だと思うものにだけ力や時間を注ぐ「エッセンシャル思考」

そんな生き方をしている作者のグレッグ・マキューンが「エッセンシャル思考」とは何か。

「エッセンシャル思考」を実践していくための方法を解説した1冊。

作者の経験や著名人のエピソードの引用等、エッセンシャル思考をイメージするのに有用である。

一方、実践の部分では少し内容が薄く感じる箇所もあるため、自分なりの実践方法を考えて実行していく必要があります。

あまり耳にしない「エッセンシャル思考」 本当の意味で、自分の人生を生きていくために重要なエッセンスが詰まっています。

自分の生き方に迷っている人なんかには特におすすめの1冊です。

出版日&ページ数

2014年11月17日 

320ページ

こんな人におススメ

・日々の生活で時間がないと感じている

・人生で大切なことを見失っている

・成功した人の考え方に触れてみたい

作者について

著者 グレッグ・マキューン

シリコンバレーのコンサルティング会社THIS IncのCEO エッセンシャル思考の生き方とリーダーシップを広めるべく世界中で講演、執筆を行っている。

アップル、グーグル、フェイスブック、ツイッター、リンクトインなどの有名企業にアドバイスを与えている。

目次

PART1 エッセンシャル思考とは何か

第1章 エッセンシャル思考と非エッセンシャル思考

第2章 選択 選ぶ力を取り戻す

第3章 ノイズ 大多数の物は無価値である

第4章 トレードオフ 何かを選ぶことは何かを捨てること

PART2 見極める技術

第5章 孤独 考えるためのスペースを作る

第6章 洞察 情報の本質をつかみとる

第7章 遊び 内なる子供の声を聴く

第8章 睡眠 1時間の眠りが数時間分の成果を生む

第9章 選抜 もっとも厳しい基準で決める

PART3 捨てる技術

第10章 目標 最終系を明確にする

第11章 拒否 断固として上手に断る

第12章 キャンセル 過去の損失を切り捨てる

第13章 編集 余剰を削り、本質を取り出す

第14章 線引き 境界を決めると自由になれる

PART4 しくみ化の技術

第15章 バッファ 最悪の事態を想定する

第16章 削減 仕事を減らし成果を増やす

第17章 前進 小さな一歩を積み重ねる

第18章 習慣 本質的な行動を無意識化する

第19章 集中 「今、何が重要か」を考える

第20章 未来 エッセンシャル思考を生きる

最終章 エッセンシャル思考のリーダーシップ

本の構成

全体の構成としては PART1「エッセンシャル思考」では、表題にもなっている 「エッセンシャル思考」がどんな思考法の説明から始まります。

PART2「見極める技術」では、最高の結果を出すために何を残したら良いのかを見極めるための方法について解説しています。

続くPART3では「捨てる技術」ということで、今まで保持していた行動や思考を手放すテクニックが書かれています。

最後のPART4「しくみ化の技術」では、エッセンシャル思考を実践していくために、意思の力ではなく習慣化していくための仕組み作りがまとめられています。

各章ごとに名言や図が差し込まれていて、読みやすいです。

エッセンシャル思考とは?

エッセンシャル思考とは何か、本書では「より少なく、より良く」という言葉で表しています。

もう少しかみ砕いた表現にすると「自分が重要と思うことを見極め、重要と思ったものにだけ全力を注ぐ」と言えます。

忙しい現代、仕事や家庭、プライベート様々な場面で様々なことに対応を迫られます。

そんな状況の中で、頼まれたことをすべて引き受けてしまう、全てのことを出来ると思いどれも中途半端に終わってしまう、という経験をしている方も多いと思います。

それでは、自分の大切にしたいこと、時間に注力できないのは当然です。 今やっていることはみんな大切なことだという気持ちになるかもしれませんが、 大切なものを守っていくには、他のことと同列に扱っては上手くいきません。

優先順位をつけて取捨選択をすることが最初のステップになります。

見極める技術とは?

エッセンシャル思考では「何を残して、何を捨てるか」を最初に迫られるため、 何から手を付けたら良いのかさっぱり分からないと感じる人がほとんどだと思います。

そのため、最初に「見極める技術」を身に着けることが必要になります。

流れとしては

  • 孤独に考える時間を作る
  • 深い洞察で情報を引き出す
  • もっとも厳しい基準で決める

といった流れになります。

孤独に考える時間を作るために、筆者は考えるための時間をスケジュールに組み込んでいます。

また、1日の始まりを20分間古典を読む時間にあてているそうです。

 
りょくと
考えるためだけの時間を作るというのはハードルが高いので、 筆者のように、読書から始めるのがおすすめです。 

洞察について、情報の本質を掴むため「ジャーナリストの目」を手に入れるとポイントとして、 4つの手段について述べています。

その手段とは

  1. 日記をつける
  2. 現場を見る
  3. 普通を知り、逸脱を探す
  4. 問題を明確にする

「もっとも厳しい基準で決める」では、

「90点ルール」

「チャンスを正しく選別する3つのプロセス」

といった具体的な手法が説明されています。

90点ルール

最重要基準をひとつ用意し、その基準に従って100点満点で採点する方法。

90点未満はすべて0点と同じ扱いとし不合格にすることで、70~60点といった中途半端な選択肢に悩まれずに済む。

チャンスを正しく選別する3つのプロセス

  1. そのチャンスについて、記述する
  2. 考慮するに値するチャンスの「最低限の基準」を3つ書き出す
  3. 考慮するに値するチャンスの「理想の基準」を3つ書き出す

すべての基準を満たしているものだけを考慮に値するチャンスとすることで、自分が本当に求めているものを選ぶことが出来る。

捨てる技術

捨てる技術の基礎となるのが「最終系を目標にする」です。

重要なことにエネルギーを集中させるためには、自分がどんな目標に向かっているのかを明確に定義しなければいけません。

この時に重要なのが「かなり明確」ではなく、「完全に明確」にすることです。

人は「かなり明確」程度では、つい余計なことに手を出してしまいます。

そうならないためにも「本質目標」をしっかり定めて目標を「完全に明確」にしていく必要があります。

完全に明確な目標を立てる際のポイント は

  • 具体的かつ魅力的な戦略 ・意味があり、心に残る本質目標
  • 一つの決断によって、その後のあらゆる決断を不要にする

拒否 断固として上手に断る

完全に明確な目標を立てられたなら、次はその目標にプラスにならないことはなるべくやらないことが必要になります。

日本人は断れない人が多いと言われます。

日々の生活の中で断ることが出来ずについ引き受けてしまい、あとで後悔するといった経験をした人も多いのではないでしょうか。

しかし、私たちの時間は有限です。

目標に対して向かっていくための時間を確保するためにも、「ノー」と言える技術をつけましょう。

本書では断るコツとして以下をあげています。

  • 判断を関係性から切り離す
  • 直接的でない表現を使う
  • トレードオフに目を向ける
  • 誰もが何かを売り込んでいる
  • 好印象よりも、敬意を手に入れる
  • あいまいなイエスはただの迷惑

特に私が重要と感じたのは「トレードオフに目を向ける」です。 頼まれごとの内容次第では断る方が面倒だと思い、安請け合いしてしまうこともあります。

しかし、どんな内容であっても自分の時間や労力は消費されます。 「もしもこれを選んだら、別のもっと価値あることが出来なくなる」という視点を持つことで、 安易な方向に流されることを減らせるのではないでしょうか。

しくみ化の技術

最後の章は「しくみ化」です。

目次にもある通り様々な観点から仕組み化のポイントを説明していますが、 今回は「前進」と「未来」についてまとめていきます。

「前進 小さな一歩を積み重ねる」

エッセンシャル思考では次のポイントを重要視しています。

  • 小さく始めて、大きな成果を得る
  • 地味でも着実に勝ちに行く                 

心理学の研究結果で人間のモチベーションに対して最も効果的なのは「前に進んでいる」という感覚です。

どのように前に進んでいる感覚を得たら良いのかというと、目標や作業工程をとにかく細かくすることです。

例えば、月に1冊本を読むことを目標としたら、1日5ページは読むなど小目標を立てましょう。

小さくても目標を達成することになり、前に進んでいる感覚や達成感を感じることが出来ます。

この時に進歩を目に見える形にすることも効果的です。

その日の目標を達成した日はカレンダーにスタンプを押すなどして、可視化すると良いでしょう。

「未来 エッセンシャル思考を生きる」

エッセンシャル思考の実践には

「生活のあちこちに取り入れる方法」と「エッセンシャル思考を生きる」

という2つのアプローチがあります。

本書では当然ですが、「エッセンシャル思考を生きる」ことを推奨しています。

とは言え、日々の中でいきなりエッセンシャル思考で考えろと言われても難しいものですよね。

ここでポイントになるのが次の3つのポイントになります。

  • 迷わない
  • 流されない
  • 日々が楽しくなる

上記の3つのポイントを意識して、自分にとって本当に重要なことはなにか判断出来るように、自分なりの基準を作っていきましょう。

書評

大量の物や情報にあふれた現代の中で、自分にとって大切なことは見失いがちです。

そんな現状を変えようと思って行動を起こすときも、何かをプラスすることは思いついても、何かをマイナスすることは意外と思いつかないものです。

私は本書を読んでから、「今自分が大事にしたいことは何なのか」ということを振り返る機会を持てるようになりました。今まではそんな考えが頭の中によぎったことさえ無かったので、小さいながらも進歩だと感じています。

作者の言う、エッセンシャル思考を生きるにはまだまだ程遠いですが、私自身もエッセンシャル思考を身に着けて、自分の大事なものを優先出来る時間を増やしていきたいところです。

日々なんとなく過ぎている感じがしている方、忙しさに流されてしまっている方は、まずはこの本を手に取って、エッセンシャル思考への一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

error: Content is protected !!