人生の必須スキル 超 発想力 DaiGo ざっくりまとめ

 

どんな本なのか?

変化が激しい時代に生きる私たちに求められる「発想力」

そもそもなぜ発想力が必要なのか、発想力を高めるためにはどうしたら良いのか。

そんな疑問について様々な実験結果から出た科学的根拠をベースに解説している本です。

考え方に終わることなく、具体的な手法、すぐにできるテクニックも盛り込まれているので、

「発想力」に関する入門書として手軽に読める本です。

出版日&ページ数

2020年10月3日

256ページ

こんな人におススメ

  • 発想力、創造性を伸ばしたい人
  • めまぐるしく変化する時代に対応していきたい人
  • 自分には発想力なんて必要ないと思っている人

作者について

経歴 慶応義塾大学理工学部物理情報工学科卒業。

イギリス発祥のメンタリズムを日本のメディアに初めて紹介、 日本唯一のメンタリストとしてTV番組に出演。

その後、ビジネスやアカデミックな方向に活動を転換。

現在は、Youtubeや独自で立ち上げたDラボというサービスで、科学的根拠に基づいた様々な知識を発信しています。

Youtubeのチャンネル登録者数は2021年4月時点で237万人と非常に多くの登録者数を集めてい

本の目次

目次

第1章 「思いつく力」が、どんな人にも必要な3つの科学的根拠

第2章 「思いつく力」を高める7つの方法

【思いつく力を高める方法1】制限を利用する

【思いつく力を高める方法2】リーキー・アテンションを活かす

【思いつく力を高める方法3】体の動きを使う

【思いつく力を高める方法4】高速思考を使う

【思いつく力を高める方法5】無意識にゆだねる

【思いつく力を高める方法6】イメージの力を使う

【思いつく力を高める方法7】 他人の力を借りる

第3章 思い付きを磨いてカタチにする5つのツール

【思いつきをカタチにするツール1】ヤヌス的思考法

【思いつきをカタチにするツール2】ブレインライティング

【思いつきをカタチにするツール3】マインドマップ

【思いつきをカタチにするツール4】創造性レシピを使う

【思いつきをカタチにするツール5】おもしろいアイディアに共通する12のパターンを使う

第4章 どうしてもアイディアが出ない時に役立つ12のスランプ脱出法

【スランプ脱出のためのTIPS1】目を閉じる

【スランプ脱出のためのTIPS2】 シャワーを浴びる

【スランプ脱出のためのTIPS3】 いい気分になる曲を聴く

【スランプ脱出のためのTIPS4】 あえて単調な作業をする

【スランプ脱出のためのTIPS5】 サイコディスタンスを増やす

【スランプ脱出のためのTIPS6】 暗い部屋で考える

【スランプ脱出のためのTIPS7】デスクに観葉植物を置く

【スランプ脱出のためのTIPS8】 海外旅行をする

【スランプ脱出のためのTIPS9】 とにかく新しいものに触れる

【スランプ脱出のためのTIPS10】 ポジティブなムードを心がける

【スランプ脱出のためのTIPS11】 スーツを着てみる

【スランプ脱出のためのTIPS12】 お茶を飲む

第5章 疲れや怒り、悲しみなど「ネガティブ」を思い付きに変える5つの裏技

【ダークサイドを活用する裏技1】「疲れ」と「退屈」を使う

【ダークサイドを活用する裏技2】 心配性を利用する

【ダークサイドを活用する裏技3】 自分の「変」を受け入れる

【ダークサイドを活用する裏技4】 「悪事」を活かす

【ダークサイドを活用する裏技5】 トラウマを活かす

要約

なぜ、発想力が必要なのか?

「発想力」と聞くと成功していくためには必要だと感じる一方で、何となく苦手意識のようなネガティブなイメージを持つ方もいるのではないでしょうか。

本書でも第1章の1発目が「本当はみんな新しいアイデアなんて大嫌い」という内容からスタートしており、ペンシルバニア大学が行った研究などからも人間には                    

「新しいアイデアを心の底では遠ざけている」という結果が出ているそうです。

驚きの結果でもある一方で、進化の過程を考えると当たり前の話でもあり、人類の祖先が狩りをしていた頃は、いつ猛獣に襲われてもおかしくない、見知らぬ木の実を食べたら毒で死んでしまうような環境でした。

そんな環境の中では、積極的に新しいことを試すよりも、昔ながらの伝統にしたがった方が生存率は高かったはずです。

そのため、現代に生きる私たちも本能的には「新しいアイデア」は抵抗感を覚えるものではあるのですが、生活の仕方が大きく変わった現代では、「発想力」を持った人が成功しているのは、皆さんもご存じかと思います。

勿論社会で大きな成功をしたいという人には「発想力」は重要なスキルとなりますが、何気ない日常に対しても「発想力」はプラスに働きます。

発想力が日常に与える3つのメリット

1 マジメにやるより成果が出る

ドレクセル大学が22名のピアニストを対象に行った実験では、被験者を2つのグループに分けて

「あなたの過去のプレイよりも、さらにクリエィティブに演奏してください」と伝えられてピアノを弾くグループと、

「あなたの過去のプレイを超える、ベストな演奏をしてください」と伝えられてピアノを弾くグループの演奏を第3者に採点をさせたところ、

「あなたの過去のプレイよりも、さらにクリエィティブに演奏してください」

と指示されたグループの圧倒的な勝利でした。

この実験結果のように「上手くやろうとすると逆に力が出なくなる」という経験は誰もがしたことがあるでしょう。

では、この実験の結果のように、「クリエイティブになるぞ!」と考えただけで、この問題を解決できるのはなぜでしょう?

答えは簡単で、創造性を心がけたおかげで、あなたの意識が「結果」から「過程」に置き換わるためです

ベストな演奏をしなけらばいけないと考えると、「ミスをしないように」という気持ちが強くなってしまい、のびのびとした演奏が出来るはずがありません。

一方で、クリエイティブに演奏するぞと考えた場合は、「どう工夫するのが良いんだろう」と考え、具体的なプロセスに集中しやすくなります。

このような心理状態の方がパフォーマンスに良い影響を与えるのは言うまでもありません。

結果を求めてひたすらマジメに取り組むよりも、創造性を発揮して楽しみながら行う方が、あなたのパフォーマンスは高まるのです。

2 変化に強くなる

シェフィールド大学などのチームが、「何か嫌なことがあっても柔軟に対応できる人は何が違うのか」を調べる実験を行いました。

実験の内容は男女301人を対象に「トラブルが起きた時に、シチュエーション・セレクションを使っていますか?」と尋ねました。

シチュエーション・セレクションとは研究チームが考案した造語で、「何か嫌なことがあったら、クリエイティブな行動を計画してみる」という対処法のことです。

調査の結果わかったのは日常的に、シチュエーション・セレクションを実践できている人は、ネガティブな気分やうつ症状になる可能性が低いということでした。

嫌なことがあった時に、ネガティブな感情を引きずったままでは事態は好転しません。

半ば無理やりにでもクリエイティブなことを考えた方が、気持ちが回復しやすくなるのは普通のことです。

クリエイティブなことを考え、ネガティブな気分から脱出することで、次の行動に移れます。

そのため、発想力がある人が変化に強くなるのは、理にかなっているのではないでしょうか。

そうは言っても、問題が起きた時にクリエイティブな気持ちが消えてしまうという場面もあるでしょう。

そんな時は「この問題のせいで嫌な気分になったら、私はクリエイティブな活動を選ぶ!」と3回唱えてみて下さい。

単純すぎる手法のように思えますが、実験の結果この手法を使った被験者の多くはポジティブな気分が高まり、その影響は1週間を過ぎても持続したそうです。

時間もお金も手間もかからない方法なので、物は試しでやってみてはいかがでしょうか。

3 幸福度が上がる

チューリッヒ大学が行った調査では、18~92歳までのドイツ人4100人に対して、「発想力と幸福感」の関係を調べるオンラインアンケートを依頼しました。

この研究での「発想力」の定義は次のようなものです。

「どんな状況でも、自分自身や周囲に対して楽しさやユーモア、面白さをもって解釈できる能力」

そして、被験者の答えをまとめたところ、発想力と幸福度には高い相関がありました。

具体的に言えば、日々の体験を新たな視点からとらえ直す力を持った人はポジティブな体験の量が増え、人生のあらゆる時期において、幸福感が高い傾向にあったのです。

この研究の結論では「とにかくクリエイティブな態度を表に出せば幸福度は高まる」という結論を出しています。発想力が大事と言われると、持って生まれたセンスが大事と思われがちですが、クリエイティブな態度でいようと心がけるだけでもあなたの幸福度は大きく上がります。

更にここ数十年の別の研究では、クリエイティビティで幸福度が上がるだけでなく、精神的ストレスが大幅に下がることが分かってきました。

ドレクセル大学が行った実験で、仕事やプライベートのストレスを抱えた人たちを集め、全員に「45分間だけ好きなように絵を描いてください」と指示しました。

結果は、過去に絵を描いた経験のあるなしを問わず、被験者の約80%に主観的な不安や悩みの減少がみられ、コルチゾールというストレスホルモンの分泌量が下がっていました。

この実験のように創造的な行為は、私たちの心の重荷を一時的に解き放ってくれる効果があります。

創造的な活動に集中してい間は、仕事やプライベートの悩みについて考え続けるのは難しいでしょう。絵をかいたり、詩や小説を考えている間は、誰もがストレスから解放されるのです。

このような心理を専門的には「フロー状態」と呼びます。

過去に行われた複数の研究から、フロー状態に入る回数が多い人ほどストレスに強く、人生の幸福度が高くなることが分かっています。

自分の好きなことに熱中していたらいつの間にか数時間過ぎていた、というような経験をしたことがある人も多いでしょう。

フロー状態に入ってしまえば、あなたの頭の中からストレスは消え去ります。

悩みや不安からなかなか離れることが出来ない時は、あなたの好きな創造的な活動を思いっきりやり、悩みや不安から距離を置いてから対策を考えることが、発想力の好循環になるのではないでしょうか。

思いつく力を高める方法

リーキー・アテンションを活かす

リーキー・アテンションとは、目の前のことに頭の半分は集中しているけれど、もう半分は全く別のことを考えているような状態のことです。

心ここにあらずのような完全に目の前のタスクから注意が逸れた状態ではなく、じわっと心が漏れ出しているようなイメージです。

ここまで聞くと集中できていない悪い状態のような印象を受けるかもしれませんが、このリーキー・アテンションには想像力が高まった状態ということが分かっているのです。

リーキー・アテンションが起きやすい人は、情報のフィルタリングが遅いせいで、不要な情報が頭の中に残り続けてしまいます。

その脳内に残ってしまった情報が、ふとしたタイミングで思わぬ結びつきを生み新たな発想につながりやすくなるのです。

つまり、注意力がないのは必ずしも悪いことだけではなく、上手く使えば発想力アップに使うことが出来ます。

・アイディア出しが必要な時

BGM、ノイズ、視覚的な情報が多い状態などでアイディアを考える。

他にも、人通りが多い場所に行く、人と会話をしながら考えてみるのも良いでしょう。

・アイディアを形にする段階

刺激のない場所にこもり、周りからの刺激をシャットアウトし、リーキー・アテンションを防ぐ。

他にも、リーキー・アテンションを引き出すには「目の前の課題からわざと離れてみる」というの有効です。

シドニー大学による実験では、被験者に難しい数学のテストを解くグループ(Aグループ)と、

数学のテストの途中で歴史の記述問題に取り組ませるグループ(Bグループ)の成績比較を行いました。

その結果は、AグループよりBグループの方が約40%ほど創造性が高いというものでした。

こうなった理由は、特定の問題ばかりに取り掛かっていると、一つのアイディアに意識が固まってしまうからだと思われます。

しかし、目の前の課題から離れると、あなたの脳はいったんリセットされ、新たな可能性に意識が行くようになります

良いアイディアが思いつかず悩んでいたことが、一晩寝て起きたら簡単に解決法を思いついた経験を皆さんもお持ちではないでしょうか。

ある程度考えて良いアイディアが思い浮かばなかったときは、一旦諦めて寝てしまったり、関係ない作業や趣味の時間をとり、頭の切り替えを行い「考えない時間」を作るのも有効です。

アイディアをカタチにする方法

本書では思い付きをカタチにするツールとして5つ紹介されています。

今回はその中の1つ、「ブレインライティング」を解説していきます。

アイデア出しのために「ブレインストーミング」をやっている方は多いのではないでしょうか。

あえて結論は出さずにグループで意見を出し合い、アイデアの相乗効果を狙う方法ですが、近年ではそれ以上の効果が狙える手法として「ブレインライティング」が注目されています。

やり方としては次の5つのステップからなります。

  1. 解決したい問題や疑問を決める
  2. その問題に対するアイデアを10~15分かけて紙に書く。思いつく限り何を書いても良い
  3. 書いた紙を隣の人に渡し、自分も隣の人から紙をもらう。
  4. 渡された紙に書かれたアイデアを見て、また10~15分かけて別の意見を書き出す。
  5. すべての紙を集めて全員で検討する。その紙に書かれたアイデアが誰のものなのかは明かさない。

要するに、ブレインストーミングの意見を出し合うプロセスを、すべて紙に書き出す作業に変えたものです。

ブレインライティング」が「ブレインストーミング」より良いアイディアを生み出せる2つの理由

  1. 一人あたりが出せるアイデアの数に上限がない
  2. 他者からの評価を気にせずに意見が出せる

1つ目の理由は、一人あたりが出せるアイデアの数に上限がない点です。

いくら自由にアイデアを出すように言われても、向かい合って意見を話すブレインストーミングでは、一度に一つのアイデアしか話せません。

周囲の人も聞くことしかできず、限られた時間の中で情報や知識を分け合うチャンスに限りが出てしまいます。

一方、「ブレインライティング」では複数の人が同時にアイデアを書き出すことが出来、ブレインストーミングより多くのアイデアを出すことが出来るのです。

2つ目の理由は、他者の視線を気にすることなく意見が出せる点です。

人間は他者からの評価を恐れる生き物です。

いくら自由に意見を出すように言われても、学校や会社等グループの中で抵抗感なく意見を出せる人は少ないでしょう。

まして突飛なアイディアを言うと、批判されたり、バカにされたりするのではないかという恐怖心もあるでしょう。

ところが、誰にも批判されないようなアイデアは平凡で無難なものですから、アイディアとしては弱く出す意味がありません。

その点、ブレインライティングなら人前で意見を話す不安もなく、参加者の意見をすべてすくい上げることが出来ます。誰が書いたのか分からなければ、少しひねったアイディアも思い切って書くことが出来るのではないでしょうか。

ブレインライティングの効果は科学的にも証明されており、ある実験では「一人で紙にアイディアを書き出す」パターンとの比較で、「ブレインライティング」を使ったグループは37%良い考えが浮かんだという結果が確認されたそうです。

チームでアイディアを出しをすることが多い人は、一度試してはいかがでしょうか。

高速ブレインライティング

アイディア出しに有効な「ブレインライティング」ですが、更に効果の高い応用編もあります。

それが「高速ブレインライティング」です。

その名の通り、書き出しとレビューを素早く行う方法で、次のプロセスを何度も繰り返す方法です。

  1. 解決したい問題や疑問を集める  
  2. 8分かけてアイディアを書き出す
  3. 3分で隣の人からもらった紙をレビューする

ご覧の通り、通常のブレインライティングの半分ほどに作業時間が短くなっています。

1セット11分なので面倒なミーティングの効率を大幅に上げることが出来るでしょう。

57名のサラリーマンを対象に行った研究では、通常のブレインライティングより74%もアイディアが出やすくなったと報告されています。

ブレインライティングに慣れてきたら、作業時間を短くして効率を上げる工夫をしてみるのが良いでしょう。

書評

私自身、「発想力」に自信がなく、どちらかというとコンプレックスを持っているぐらいです。

何とかしたい気持ちはありましたが、創造性を高める方法なんて知らないため半ばあきらめていました。

しかし本書を読み、発想力を高める具体的な方法を知ることで「発想力を高めることが出来るのではないか」と思えるようになりました。

DaiGoさんの本らしく、各章がコンパクトにまとめられており、読みやすく作られているため入門書として手に取りやすい印象ですので、創造性について学びたい人が最初に手に取る本としても優秀な一冊です。

何かを変えたいと思った時に、「発想力」は大きな力を与えてくれます。

解説でも触れた通り、「クリエイティブになるぞ」と意識しただけでも、良い影響があります。

皆さんも本書を手に取り、まずはクリエイティブ思考を持った新しい自分を創造してみてはいかがでしょうか。

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